V.A 「This Bird Has Flown:

hidizo2005-10-24

40th Anniversary Tribute to Rubber Soul」


ビートルズの名作「ラバー・ソウル」の40周年記念で、アルバムを曲順通りいろんな人がカバーしてるシンプルな企画のアルバム。
ミュージシャンのセレクトにもかなりクセがあって、大変に楽しめます。若手から中堅どころが多いのが特徴です。


1. Drive My Car - The Donnas
2. Norwegian Wood (This Bird Has Flown) - The Fiery Furnaces
3. You Won't See Me - Dar Williams
4. Nowhere Man - Low
5. Think For Yourself - Yonder Mountain String Band
6. The Word - Mindy Smith
7. Michelle - Ben Harper & The Innocent Criminals
8. What Goes On - Sufjan Stevens
9. Girl - Rhett Miller
10. I'm Looking Through You - Ted Leo
11. In My Life - Ben Lee
12. Wait - Ben Kweller (featuring Albert Hammond Jr.)
13. If I Needed Someone - Nellie McKay
14. Run For Your Life - Cowboy Junkies


興味津々なメンツじゃないですかねえ。特徴としては、思いっきり自分の持ち味で染め上げるタイプより、しっかり歌を聴かせるタイプのカバーが多いことかな。


特に昔は生理的に嫌な声だと思っていたベン・リーにグッと来る。このアルバムの中でも恐らく最も人気がある曲に果敢に挑戦しているだけあります。
アルバートハモンドの使い方もニクいベン・クイーラー、真っ直ぐに伸び伸び歌いきったダー・ウィリアムス、卑怯だよと言いたくなるほどハマった、レゲエで攻めたベン・ハーパーがいいです。
カウボーイ・ジャンキーズやミンディ・スミス辺りは結構微妙な味の曲にもかかわらず聴かせる仕上がりで大した物です。
特にジャンキーズが素晴らしい!あのけだるさはそのままに妙に喧しい出来。ヴェルヴェッツの「ラン・ラン・ラン」を引っかけた作りになっててニヤリ。


で、一番この手のカバーの楽しみは、無茶な解釈をしてる人たち。
ダブみたいな処理を噛ましパンクっぽくもあるヘンテコなテッド・レオ、ドラムレスのストリング・バンド・スタイル(ファズ・ギター入り)に美麗なコーラスで朗々と泣かせるヨンダー・マウンテン・ストリング・バンド、タイトル曲という重荷をチープで馬鹿なテープ処理で、なぜかストーンズあたりのぶきっちょなサイケを思い出す微妙な仕上りの(物凄く誉めています)ファイアリー・ファーナセス、スロウ・コアの巨匠らしからぬ妙に爽やかなロウもイイです。


が、何と言っても超傑作がスフィアン・ステーヴンス
例のアメリカ各州をテーマにしたアルバムを出し続けてる才人。
これは凄い。
彼の圧倒的なアレンジの才が超爆発。原曲からかけ離れた、バニラ・ファッジか初期イエスかスマイルなブライアンか、という強引で詰め込みすぎのサイケ超大作に仕上がっています。メロディもかなり大胆に変えて、というか全く別の曲だよこれ。やりたい放題にも程がある。ジョンが生きてたら、絶対に手放しで喜んだはず。
この1曲のためだけに買っても、間違いないです。


これは、知らなかった参加者のアルバムがもれなく聴きたくなる、と言う点でも本当に素晴らしいアルバムと言えましょう。


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