Anthem of the Moon (2001)

hidizo2005-11-05



最高傑作
そう呼ぶに相応しい完璧な出来映えだ。


前作のハード・ロック的な方向性を修正、ノー・ウエイブ的な鋭利さを差し込み直したような感覚。
例えば、リフをオルガンが弾く曲とギターが弾く曲の両方があって、それぞれがノー・ウエイブ/ハード・ロックの印象を切り替えている感もある。
そして曲が展開するとサイケなギターソロがのたうち回り、ロック的な興奮を与えてくれる展開が増えた。オルガン主体だった時期と、ギターを前面に出した前作の両方の要素がきっちり前面に出た。


楽曲もかなり磨き上げられている。
僅か1分しかないM1は、Aメロ1回、サビ1回という勢い重視の居合い抜きのような曲構成でツイン・ヴォーカルが吼える。カクカク疾走するタイプの曲では間違いなく最高傑作。それがオルガンとギターのミニマムなリフとJマスシス的なダルな歌が耳に付くミドル・テンポのM2になだれ込む頃にはすっかり捕まれてしまう。
その他の楽曲も、適度にメロディアスで、甘くなりすぎないバランスがいい。
印象的なのは、ヴォーカル・パートが穏やかな曲が多いこと。曲が割と喧しくても、歌は淡々と。そんな陰影がある曲が多い。
演奏面でも前半が喧しいM6の後半で、のっそり登場してくるアップライト・ピアノを使ったようなラグタイム風のリフなどに、そうした穏やかさの一面があるように見える。


最期の構成は劇的だ。それぞれ1分程度の小曲M10とM11が並んだあと、イントロからして大作感を臭わせるギターソロから、モーターヘッド的なハード・ロックでありミニマムでもあるリフが立ち上がり、そのまま巨大に展開していく12分に及ぶ大曲で締め。始終ハイ・テンション。後半は古典的と言いたくなるほど王道のサイケなギターがこれでもかと暴れ回り、ホワイト・ノイズの中に全てが消えていく最期の1分の焦燥感に、胸を捕まれ呆然とする感動がある。


47分ほどの中にあらゆる要素を詰め込みつつ、アルバム全体の完成度を底上げしていくような構成が素晴らしい。
今までの作風を総ざらえするような、彼らの集大成といえる作品だ。聞き易く血中が一気に沸騰しやすいのが素晴らしい。


1.New Head
2.All Arounder
3.Geometry
4.Rose and Licorice
5.Almagest
6.Still Rememberin Hidin in the Stone
7.Dead Worlds
8.People of the North
9.Wooded World
10.Ballad of Impervium
11.To Seed and Flower
12.Double Lock Your Mind


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