Each One Teach One (2002)

hidizo2005-11-06



問題作。
初の2枚組だが、実は充分1枚に収まる長さではある。


それをわざわざ切り分けたのは、ディスク1がたった2曲、それも思い切った長尺だからだ。
この2曲は他の楽曲と余りにも方向性を異にする。
発想は実に単純。轟音ミニマム、である。単調なリフが殆ど展開しないまま延々10分以上に渡るM1の異常なまでのストイックなミニマムぶり。M1と比べれば展開はあるものの、それでもかなりシンプルなM2。実は、単純な反復じゃなくて細部のニュアンスは演奏中にちょこちょこ変わっているんだが、べっとりと全面に張り付いたオルガンのリフの印象が、延々反復している印象を非常に強めている。
その音圧といつまでも終わらないような展開は、大音量で聴くとかなりクる、目が眩むようなホワイトアウト感を味あわせてくれる。超サイケ。
太陽のようだが実はヒマワリというジャケットのイラストの、コッテリした灼熱感が完璧にアルバムの内容を物語る。
彼らのアルバムでは、最期の曲がリフを繰り返す長い曲だったりすることが多いのだが、ここまでしつこいほど長く、しつこいほど展開がないのは流石に初めてだ。前作が彼らの総決算であったことに対する反動なのか。実に極端に走ったもんだ。
とはいえ、M2は彼ら特有のカクカクしたサウンドの最大の発展系と言えなくもない部分も多い。激しくつっこんでくるドラムや、ハードなギターワークなど、実はロックとして格好良く聴ける出来でもあるのが侮れない。


なお、ディスク2は案外彼らのイメージをなぞるような作風のコンパクトな曲が並んでいる。リズムボックスやロウ・ファイっぽいドラム録りなどに、妙なモンド感はあるものの、それなりにキャッチーな曲が多い。とはいえ、普段の彼らからすると淡々とした雰囲気がするのはディスク1とのバランスをとったのか。ディスク全体ではこっちの方が数分長いんだけど、聴いた印象はこっちの方があっという間に終わる印象。


結果として、かなり極端に走った作品なのだが、ディスクが切り分けられているため、そんなに無茶苦茶な印象は残らない。それは、狙いなのかな。
いずれにせよ、この思い切りの良い実験精神には胸がすくものがある。



ディスク:1
1.Sheets of Easter
2.Antibiotics


ディスク: 2
1.Each One Teach One
2.People of the North
3.Number Nine
4.Sneak Into the Woods
5.Rugaru
6.Black Chamber
7.No Label


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