Secret Wars (2004)

hidizo2005-11-08



作品ごとに作風を変えてきた彼らだが、ここでまた大きな変化をとげた。パンク/ハードロック的な側面が強いバンドだったはずだが、いわゆるポストロック〜音響のバンド達と共通するような質感が強調されている。奇妙に落ち着きはらったムードが全体を支配しているのだ。


M1「Tresure Plane」は歌モノで、キーボードとベースの変な和声によるリフが耳を引くし、途中屈折した展開もあるが随分真っ直ぐに「エモ〜ポストロック」だ。M2、3はワイアーのようにシンプルに疾走する。M4はブルーズ・ロック的とも言えるいつになくメロウな世界を聴かせる。
M5「$50 Tea」。来た。例のやたらと小刻みな壁のような世界。それも今まで以上にしつこく早急。やっぱりこの手の曲は燃える。
M6はスパニッシュ・ギターに変テコなオルガンが絡みつき、ダルくて難しい旋律のサイケでドローンな歌。M7は徹頭徹尾全く同じリフだけ。カンに近い雰囲気。
最後の「Changes in the sky」は、リフを刻むベースに、ゆったりとしたオルガン、とりとめのないメロディを弾くギターが乗ってきてスケールの大きいバックを描き、勝手気ままに叩くドラムがのたうち回る。それが徐々に各楽器のリズムが揃っていき、重厚に爆裂、楽器が離脱していって静かに消えていく。何故かアルバート・アイラーモグワイが出会ったような印象を持った。


曲ごとに大まかなサウンドのイメージを書いてしまったのは、それだけ幅広い音楽性を内包しているからだ。曲ごとに違う方向性を模索する方針で、5曲目以外が全て新機軸といっていい。今までと共通する「反復」というキーワードは、背景にある。が、サイケというよりはジャーマン・ロック〜音響に至るバンド群に近い方向だ。
ハードにガンガン乗せまくる曲が少ない上、実験的でダルなムードが漂う曲が多い地味な作品ではあるが、これはこれで「アリ」だ。


1.Treasure Plane
2.Caesar's Column
3.Capt. Bo Dignifies the Allegations With a Response
4.Wild Horses
5.$50 Tea
6.Last Act, Every Time
7.Winter Shaker
8.Changes in the City


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