Clap Your Hands Say Yeah 「 Clap Your Hands Say Yeah 」

hidizo2005-12-02


師走に入った頃になって、ひょっとしたら今年屈指のレコードなんじゃないかと思えるアルバムに出会いました。
しかし、何て身も蓋もないバンド名でしょうか。「手を叩いてイエー」って。アホか。でも巧い落としどころですね。一発で覚えちゃったもんなあ。

1曲目が「Clap Your Hands!」という曲。へっぽこオルガンにお遊戯のようなメロディが乗り「幸せなら手をたたこう」の絶望一直線ヴァージョンみたいな歌詞が歌われた瞬間、傑作を確信した。
2曲目から、USインディ乗りのギター・ロックが始まる。
デヴィッド・バーンダニエル・ジョンストンを足してリヴァース・クオモで割ったようなクネクネした神経質で情けない声。あるいは甲高いジョナサン・リッチマン。とても魅力的な声だ。しかも脱力系じゃなくて結構一生懸命に張り上げてる。声の特性は充分認識してて、所々でゆらゆらしたビブラートをぶち込んでくるんですがこれが堪らない。で、ティーン・ビートあたりに所属したバンドのようなヨレたギターサウンドにこれまたチープなオルガンやシンセがひと味添える感じ。しかしリズム隊は結構しっかりしてる。ひょろひょろした上物をきっちり土台で支えてる感じが、このタイプのバンドでは何か新しい感じがする。


とにかく曲がいい。かなり覚えやすくてポップな曲が多いんですが、神経質な声の持ち味同様、何処かが妙にねじくれている。躁病っぽい明るさの後ろに、日曜の夕方のボンヤリとした寂しさが漂ってる感じに、キュアーの影響は如実。声の魅力が加わって哀愁がたっぷり。
アレンジがまたとてもチャーミング。ヴェルヴェッツの遺伝子が確実に覗くジャングリーなギターが鳴る曲が中心で、よれっぷりと堅実さの狭間で揺れる、この妙味。
また、特に玩具のピアノが鳴るようなタイプの曲での子供番組かノベルティ・ソングか、という感じの作り物感たっぷりの楽しさもいい。全般的に鍵盤類の可愛さはポイント。初期のゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツに通ずる部分もあると思う。
ベストトラックは6曲目の「Skin of My Yellow Country Teeth」と10曲目の「In This Home On Ice」。この賑やかで寂しい感じ。何か、泣けるんだよな。


ジャケットの意味不明さも最高。表の絶対不可能な組み体操も、裏面の二階堂和美さんが描いた生き物かと思うような訳のわからなさも、愉快で仕方がない。

何度も何度も何度も聞いてる。新奇な試みは特にないし、聴くたびに発見があったりするわけじゃないけど、寂しさを掘り起こしながら埋めてくれるような感じ。そうやって結局寂しさを再確認していくような。でもなんだか暖かい。
極私的に今年屈指のアルバムだと思う。同意は得られがたいと思いますけどね。


http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000AOJHZA/goodasgoldstu-22