Audionom 「Retrospektiv」

hidizo2005-12-04



この何と読むか判らないバンドは、スウェーデンの絵に描いた「ポストロック」です。実にベタなジャーマン・ロック乗りの展開をもつ、くどいぐらいの反復で構成された楽曲や、ブレイクなどを使って盛り上げていく構成とか電子音がびゅーんとか。それはもう本当に絵に描いたように。

ですが、彼らが他バンドと違うのは、ロック的なベタさを恐れていないところ。
あくまでギター中心で、ディストーションのかかった音でゴリゴリとリフを弾きまくって大仰なまでに盛り上げ、2台で絡み合うフレーズを作ってみたり。その他、キャッチーなシンセのシークエンスが走ったり。分かり易いキメがあったり。曲が進んで行くに連れてスピードが上がったり。歌を乗っけてみたり。
いちいちキャッチーで派手で分かり易く、無駄な衒いがない。
あと、クラブっぽい乗りが皆無であり、演奏はほぼ全て人力、ドラムがドカドカ鳴りまくる。ダサいが実にロックしている。


結局このバンド、ポストロック云々というよりポップ・パンク、そこまで行かなくともバズコックスとかワイアー、スペースメン3みたいな感触を持っている。ジャーマン・ロックとパンクってのは割と近い関係なわけで、こういうバンドが出てきてもおかしくはない。
ONEIDAに近しいムードもある。ただ、ONEIDAのように「いろんな事をやってみよう」という選択肢の中の一つがこういうパンキッシュな反復モノ、という志じゃなくて、徹頭徹尾全部「これ」である。曲尺の長い短いはあるけど、全体通して殆ど曲の違いがない(1曲気に入ったら、恐らく全曲OKだろう)。


いやね。格好いいわけですよ単純に。いくらでも拳が揚がるわけですよ。くいくいと。何でそれをいわんとするのにこんなに弁を弄するのか自分でも判らんけど、これをひたすら持ち上げるのはちょっとどうか。という腰の引けた気分もあったりする。新鮮ではあるけど新しくはないし、独自性があるわけでも無し。だいたい、この快感に比類するものって沢山あると思うしなあ。
あと、このスタイルは容易に盗用が効く。日本でも真似するバンドが出てきそうだなあ。意地悪いかなあ。
でも格好いいと思ったので一筆書いてみました。
アマゾンでは売ってませんが、HMVとかタワーでは探せばあると思います。


ちなみに、オフィシャルサイトが全く謎。おそらくジャケットのイラスト(やたらスタティックなアートワークは格好いい。それによって文字が全く読めないんだけど)の形の3D迷路なんだけど、端っこまで行ったからといって何も起こらない。
いったい何のために作ったページか。これが一番、独自性がある。
http://www.audionom.tk/