Quintron & Miss Pussycat 「SWAMP TECH / ELECTRIC SWAMP」

hidizo2006-02-03



メンフィスのキ○ガイオルガン奏者クイントロンのレコードは何枚か聴いたことがあるんですが、どれもキ○ガイの勲章に相応しく、気色悪いモンド臭がぷんぷんで、面白れえなとは思えどそんなに良いと思えもしないというのが正直な感想。
例えば「フロッグ・テープ」ってアルバムは後半はただカエルの鳴き声みたいなノイズが延々入ってるだけで本当に聞いていて気色悪くなったし(レジデンツに通じる感触。湯浅学さん大喜びと見た)。
単にたまたま聞いたアルバムが良くなかっただけかも知れませんが。

で、こいつです。名義はクイントロンとミス・プシーキャットの連名。プシーキャットはクイントロンの奥さんで、ジャケの写真にもある気色悪い:可愛い比率が8:2の人形を制作し、それで人形劇なども作っている人物。
で、このアルバムはCDとDVDのセットで、正確にはCDが「SWAMP TECH」DVDが「ELECTRIC SWAMP」と名付けられていて、DVDでプシーキャット制作のロウファイ且つ毒気がキツすぎる人形劇がゲップが出るほど見られる次第。セリフがかなり多いので、言葉が分かるともっと酷い気分になるのかもしれない。

なお「SWAMP TECH」とはクイントロンが自分の音楽を指し示す時に使う言葉ですが、どういう事か正直よく判りません。たしかにコイツがアメリカ南部に住んでるのは間違いないんですが、スワンプ・ロック的なルーツ色は皆無。ムード/モンド的なヨレた気色悪い旋律を伴うオルガンが、トラッシュなロックンロールであったりチープなホラー映画のサントラのようであったりするトラックを背景にぴゅーぴゅー鳴る。いうなれば沼みたいなじめじめした気色悪さがある、ってことぐらいしか想像できません。


さてこのアルバム、オルガンとヴォーカルにクイントロン/ヴォーカルとマラカスにプシーキャット/ドラムにドラム・バディ(ドラムの相棒って酷い芸名だ)の3人のみの演奏を、ダイレクトにぶち込んだスタジオ・ライブ録音らしい。
実際、ブッちぎりの勢いと無駄なまでのエネルギー、そして線の細い人間が無理をしているイタい痛快さを誇るオルガン・ロックンロールが堪能できる。ディーヴォっぽいサイファイ文系ならではのキレ方も盛り沢山。
それにしても何と安くスカスカなサウンドだろう。
神経症っぽいクイントロンと妙に外れた音程と思い切りの良さが気持ち悪いプシーキャットの2枚ヴォーカルもバッチリはまっている。

何故かホラーとロックンロールはミスフィッツやクランプスの例を挙げるまでもなく馴染みやすい物であるが、これもまさにその伝統にのっとたもの。そのくせ、楽器がオルガンであるが故の妙なモンド臭も健在だし、蠅がブンブン飛んでるようなノイズとかウシガエルが鳴いてるようなノイズも盛りだくさん。ノイズとムード音楽は紙一重である、という真理を体現してるようである。
気色悪いようで実は痛快、なロックンロールが13個。是非おためしあれ。


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