KT Tunstall 「Eye to the Telescope」

hidizo2006-02-16



シングルを愛聴しつつも、店頭で見るたびCCCDなので諦めていた中国系アイルランド人女性シンガー・ソングライターのアルバムが、遂にアメリカ盤CDDAで登場。
速攻飛びついたね。
確かにBBCが押す2005年最高の新人、という冠は伊達じゃない。

ちょっとハスキーな声で、ザ・バンド的な重いゴスペル風でも、アコースティックながら喧しくハジけたタイプの曲でも、さめざめとしたバラードでも、違和感なく表情豊かに歌いきる。時に力強く、時にヒステリックに、時に色っぽく、時に儚く。その堂々たる存在感、安定した風情は姉御肌のキャラクターを想起させる。

曲もかなりバリエーションがあって、12曲それぞれがかなり方向性が違う。
対するアレンジは割と古くさく堂々としたフォーク・ロックに、リズムや音色で現代性を加えた感じ。なお、本人はギターの他にキーボードもいけるので、クレジットは彼女以外ドラムとベースとストリングス数名のみ。
これが結果として雑多な曲想に対して、アレンジを過剰に広げすぎない、点で吉と出た感がある。

メディアではキャロル・キング的とか言われてるようですがそんな感じはしないな。
作曲の妙というより、全体のトータルな雰囲気で引っ張っていく感じ。
寧ろ、ノラ・ジョーンズの最近の指向性に近いものを感じる。ジュディ・シルなんかに近いところもあるぞ。
いや、フリートウッド・マッククリスティン・マクヴィースティーヴィー・ニックスの間を行き来する作風とヴォーカル、サウンドは同じマックにボブ・ウェルチがいた頃、って感じでしょうか。

新人っぽい初々しさというよりは即戦力の完成度。良いです。

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