BENEVTNTO RUSSO duo 「Live:Row Horse」

hidizo2006-03-05



Phishのマイク・ゴードンとツアーを行って知られるようになった、「デュオ」というグループ名の通り、ドラムとキーボードの二人組。その、昨年録音されたライブ盤である。
これが、鼻血が出るほど格好いい!
ご多分にもれず、MM&Wの再来のような言われ方をしている。鍵盤はオルガン主体だし。
が、一聴すれば、それが編成から来る偏見でしかないことを思い知るだろう。

まず、何より私がこのデュオに強力にあてられたのは、曲の良さだろう。曲想もジャズ有り、ザ・バンド的なバラードあり、サイケあり、ソフト・マシーン風人力ドラムンベースあり、ハルモニア風ジャーマン・ロックあり、アシッドありと多彩なんだが、リズムよりメロディ重視なのです。歌メロに出来るくらいに分かり易いほどの。

ベースレスであるが故(とはいえ、ベースはペダルかキーボードか判然しないが結構動いてラインを組み立てている)の方策なのかもしれないが、とにかくメロが泣きまくる。安易にブレイクを作ってそこで盛り上げようという演出が薄いのに、メロディと構成の妙でかなりドラマチックな盛り上がりを見せていく。

もちろん、曲だけじゃなくて、演奏自体のクオリティも相当なものだ。
特に、キーボードのマルコ・ベネヴェントが延々メロウな旋律を淡々と弾いている後ろで、ドラムのジョー・ルッソが勢い一発で崩壊しかねないほどの爆発を聴かせるパートの格好良さと言ったらない。
主導権を握っているのは間違いなくベネヴェントだが、キモはロッソのあまりにロック的な勢い一発のドラムスだ。これがスムーズになりきらないグルーヴを生み、私のようなロック好きのダサい聞き手を揺さぶりまくるのだ。

また、彼らの人気曲だという「ベッキー」はいかにもジャムバンド然としたファンキーな展開で進んでいくが、最後、曲が終わったかと思われた瞬間に、いきなり加速してハードコアと化し突進して終わったり。こういう2人という小回りの利く編成ならではのアレンジや仕掛けも随所に。
最後の「ベスト・リーズン・トゥ・バイ・ザ・サン」の、ギターのストロークのようなキーボードと、キース・ムーン的な暴れ太鼓が織りなすフーのような盛り上がりを見よ。これは泣くだろう。泣いちゃうだろう。

なお、これは日本限定リリースのライブ盤。コロラドで録音されている、というクレジットを信用するなら、最後に粋な遊びが待っている、ような気がする。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000E1KMRQ/goodasgoldstu-22

追加:彼ら、2006年のフジロックに登場することになりました!これは楽しみだ。