Little Feat 「Late Night Truck Stop」

hidizo2006-03-26


フィートのライブ盤。それも73年!
「ディクシー・チキン」リリース直後、今ひとつ売れない状況でケツに火の点いた彼らが、ドサ回りの如く延々とプロモーション・ツアーを繰り広げていた時期の、ラジオ録音されたライブのオクラ出し、それも二枚で100分に渡る大ボリューム。
もうそれだけでOK
後は音質ですが、ちょい立体感に欠けるし、ドラムが随分引っ込んでるとか、気色の悪い音量の増減等々、思うところはありますが、十分有り難く聴けます。
2001年に正式にリリースされ、あっという間に姿を消したのが、久々にリイシュー。速攻で手に入れました。皆さんも速攻でひとつ。

大体、彼らには「ウエィテング・フォー・コロンブス」という聴いてる側のケツに火を点けるような凄まじいライブ盤があって、あれをもって決定打として差し支えない。
当時のロック・バンドは、キャリアの総決算とでもいうべき強力なLP2枚程度のライブ盤をモノにしているものですが、その中でもこれは別格。
後一歩でフュージョンになりかねない程の馬鹿テクぶりのなかに、牛のヨダレが伸びきってるようなマヌケさが奇跡の共存を見せる。あの「スイン・イット・バック」は本当に凄い。
是非、音質向上のうえ、CD化でカットされてた2曲も完全収録、未発表テイクも山盛りという至れり尽くせりのデラックス・エディションがお奨め。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000065EMP/goodasgoldstu-22

さて、この録音が行われた73年は、先ほど申したように個人的にも彼らの最高作と思う「ディクシー・チキン」リリースというタイミングであり、結構重要な人員整理が行われた時期でもある。
ローウェル・ジョージの他にギタリストにポール・バレアが参加してツイン・リードに。さらにベースがロイ・エストラーダからケニー・グラッドニーにチェンジ(これはチョイ残念)、更にパーカッションにサム・クレイトンが加わって、黄金期の布陣に至った時期だ。

故に、未だ慣れておらず、堅いといえば堅い。殊にパーカッションの絡め方が甘い。
しかし、ギターが2台に増えたことにより、ロ−ウェルがスライドを豪快且ついい湯加減に弾きまくっても演奏が崩れない余裕が出た。もう一人のギタリストのバレアとてコードをただ弾いてるだけではないから、ビル・ペインのキーボードも巻き込んで、大変にややこしくコクのある奇っ怪な絡みを聴かせてくれる。

なお、何故か「ディクシー・チキン〜トライブ・フェイス・ブギ」は2テイク入っていて、ソロとバッキングのニュアンスがまったく違うのが楽しめる。やっぱりこのバンドも、ライブテイクがあるだけ聴けることが望ましい類。

また、「ディクシー・チキン」でのセカンド・ライン・ファンクの導入後で、全体に重くどっしりしたリズムが強調されているのが心地よい。ドラムスのリッチー・ヘイワードの後ろノリのどんよりとした至芸は完成している。
聴いてると自然にニワトリみたいに首を突き出してリズムを取っている自分に気が付く。

勿論、ローウェルの男臭いヴォーカルも健在だ。「ウィリン」は何度聞いても色あせない名曲中の名曲。コーラスも含め、素晴らしい名唱だね。

「ウェイティング...」と比べても泥臭い演奏なんだが、サザンロック臭と牛のヨダレの伸び度はこっちの方が上。
オールマンのスピード感とも、レイナードの豪快さとも異なる、ニュアンス勝負のヌルさと永遠に融けない魔法のようなグルーヴが最高だ。

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