ミャオロック前史:2ロックンロールの勃興について

hidizo2006-07-17



ミャオロック自体がロックンロールに準拠するわけですから、当然そのルーツは50年代のロックンロールにあるわけで、ロックンロールの歴史はミャオロックの歴史とまるっと重なる、という理屈も成り立つ。
とはいえ、ロックンロールの歴史をただなぞっただけではミャオは浮かんでこない。何が引き継がれ、何がさっ引かれたのかを考える必要があります。
代表的なロックンロールの巨人から、その辺りを考えていくことにします。


何はなくともチャック・ベリー
ビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」以上に、彼の存在はミャオ史的に大きい。
まず、鐘の音を模したとも言われる「ジョニー・B・グッド」等の曲のイントロで聴かれるリフ、歌メロのバックのブルーズを漂白したようなギターの刻みなど、そのギターのフレーズや奏法は多大な影響を与えた。殆どミャオロックの名曲はこの変奏であり、幾らでも曲が作れる「型」の創始者である。


エディ・コクラン
詩作の上で大きな影響を与えている。ティーンエイジャーが抱える大人の社会に対する不満やイライラ感。
永遠のティーンエイジャー(中学生)を心でくすぶらせるミャオ・ロッカーにとって、彼の直接的でストレートななモチーフ立ては大変に参考になったのではないか。
チャック・ベリーティーンの日常を描いているが、シンプルな言葉遣いで発語の快感を考慮し、韻を踏み、ノベルティっぽいユーモアに落とし込んでいくそのスタイルはプロ的で巧すぎる。
コクランの方が無骨な分リアリティもある。
考えてもご覧なさい。彼の代表曲の一つ「サマータイム・ブルーズ」の歌い出しを。
I'm gonna raise a fuss
I'm gonna rise a holler

むかつくぜ
文句垂れるぜ

真っ直ぐだよなあ。
後にブルー・チアーやフーがリメイクしなかったとしても、これは若い衆の不満を爆発させるアンセムとして後の世にも機能しただろう。
明快に不良っぽいイメージを打ち出したルックスを伴ったのも、ミャオロックに大きな影響を与えたと言えよう。


リトル・リチャードは剛胆極まりない歌と、パンクでは醸せないとんでもない破壊力など、ミャオの全く対極にあるように思えるが、当時の写真を思い出して頂きたい。馬鹿みたいにギンギンにおっ立てたリーゼント、ギラギラの衣装(注1)、しかもゲイであることをカミングアウト。ハードな音楽との特性とも相まって、まさしくグラムの元祖である(注2)。彼無くしては後のグラムもないわけです。グラムとミャオロックの関係性はニコイチと言えるほど近いものがある。
まあ、音楽的にはやっぱり遠いんですが。
ちなみに、フィルムで観る彼のインタビューは、それはそれはミャオミャオしている。


注1:この項のリチャードとベリーの2ショット写真は、70年代のもの。しかし二人とも凄い衣装。
注2:というか、プリンスの直系的な先祖ですわね。