James Warren  「Jim's Easy Listening Album」

ジェイムズ・ウォーレンは私が最も好きなシンガー/ソングライターの一人だ。何でシンガー・ソングライターという書き方でないかというと、この人は曲も書き歌うのだけれど、基本的にバンドの肩書きで活動してきたからだ。 で、そのバンドがスタックリッジと…

北村大沢楽隊 「疾風怒濤!!!」

「でっかい鉄槌で頭をぶん殴られるような衝撃」を音楽で得たことのある人は少なくないと思う。 しかし、この「耳の穴から頭が浸食され、気が付くと風景まで歪んで見えてきてしまうような衝撃」ってのは殆ど味わったことがなかった。

wheat 「per second,per second,per second... every second」

もうリリースされて2年ぐらい経つが、聴き飽きないどころかこればっかり聴いている1枚をご紹介したい。 ウィート。「小麦」って名前を付けるセンスって何とも言えないが、アメリカ/マサーチュ−セッツの3人組だ。

ハンバートハンバート 「11のみじかい話」

ここ数年で出会った日本のミュージシャン達の中で、最も思い入れ深い人たちの一つ。男女のデュオである。よく伸びる高音が美しい佐野遊歩さんと、野太く朴訥で寂しげな佐藤良成さんのふたり。曲はほぼ全て佐藤さんが手がけている。 という記述だと結構ありが…

Juliet Lawson 「Boo」

このタイトルでこのジャケット。 どこを切っても英国風味丸出し、知られざる女性のシンガー・ソングライター73年のアルバム。

Tom Jones「Coast to Coast」「Do ya think I'm sexy」

とにかくトムが歌えばいい。 それで万事丸く収まるトム・ジョーンズ原理主義において、全ての歌は等しくトムに歌われる権利と義務を有しているのはいうまでもない。 つまらない曲でも盛り上がりに欠ける曲でも、トムが歌えば全てその瞬間から脂っ気とソウル…

ZEKE 「'ILL LIVING END」

いきなりですが、ロックンロールの醍醐味として、くどいまでの脂っこさとユーモアを求める傾向が、私の中ではたいへんに大きい。 ロックンロールに未来があるか無いかそんなに真剣に考えたことはありませんが、あるとすればロケット・フロム・ザ・クリプトの…

デヴィッド・キャシディ「青春のポートレート」

日本が世界初CD化、これは誇って良いでしょう。 彼はパートリッジ・ファミリーのテレビショーで有名な、70年代の男前の青春スター。 まあ、お塩先生とかが「ロックやってる」ってごねてるような、いわば芸能人による「アーティスト宣言」と見なされた一枚だ…

The Beach Boys 「Friends」

今やビーチ・ボーイズというと「ペット・サウンズ」周辺の歪みまくった時期ばかりが語られるので辟易しないでもない。ですが、これも当にその時期のアルバムですね。 書き出しとしては適当じゃないな。

Pure Reason Revolution 「Cautionary Tails For The Brave」

英国の新人バンド。 CDは紙製のスリップ・ケースに入っていて、業界紙のお褒めの言葉がステッカーになって張り付いている。で、そのNMEの文面がどうにもカチンと来る。曰く、 " Final proof that PROG is no longer a four letter word"

SWAMP RATS 「DISCO STILL SUCKS!!」

前項「Love That Louie 〜 The Louie Louie Files」で、最強かつ別格の格好良さを誇るヴァージョンと言えるガレージ・ソウル風の「ルイルイ」を聴かせてたのがこのスワンプ・ラッツ。 「ファズってのはこう鳴らすモンだ!!」ってな感じのバキバキのギター、…

V.A.「Love That Louie 〜 The Louie Louie Files」

ガレージの聖典「ルイ・ルイ」が色々な人のヴァージョンで11曲続く馬鹿の極みのような1枚、「Louie Louie Collection」を発見して悦に入っていた。 あの単調なメロディが延々続くわけで....、 その無意味さは実に痺れるものがあったり無かったり。 (http:/…

Audionom 「Retrospektiv」

この何と読むか判らないバンドは、スウェーデンの絵に描いた「ポストロック」です。実にベタなジャーマン・ロック乗りの展開をもつ、くどいぐらいの反復で構成された楽曲や、ブレイクなどを使って盛り上げていく構成とか電子音がびゅーんとか。それはもう本…

Clap Your Hands Say Yeah 「 Clap Your Hands Say Yeah 」

師走に入った頃になって、ひょっとしたら今年屈指のレコードなんじゃないかと思えるアルバムに出会いました。 しかし、何て身も蓋もないバンド名でしょうか。「手を叩いてイエー」って。アホか。でも巧い落としどころですね。一発で覚えちゃったもんなあ。

MADNESS 「DANGERMAN SESSIONS vol.1」

ほぼ同格の存在で、ヒーロー的な格好良さを持つ人たちと、芸人魂全開でウケ狙いに全てを賭ける人たち。たとえばクラッシュとダムドとか、エルヴィス・プレスリーとトム・ジョーンズ...だったら、圧倒的に後者に惚れ込んでしまう傾向がある。 大概ヒーローは…

Keef Hartrey Band 「OVERDOG」

キーフ・ハートレイの自伝「ブリックヤード・ブルース」は、滅茶苦茶面白いイギリスの60年代の音楽界の回想録だ。 アート・ウッズ〜ジョン・メイオース・ブルーズ・ブレイカーズ〜グレアム・ボンド〜キーフ・ハートレイ・バンドという、当時の英国ブルーズ・…

Cato Salsa Experience and The Thing with Joe Mcphee 「Sound Like a Sandwich」

悪いことは言わない。直ぐにお聴きなさい。 ノルウェーの大馬鹿暴走ガレージ・ロックバンド、カトー・サルサ・エクスペリエンスと、ダウト・ミュージックからのバリサク・ソロ作も豪快だったマツ・グスタフソンが名を連ねる暴力ジャズ・トリオ、ザ・シング、…

V.A. / Stop Me if You Think You've Heard This One Before (2003)

番外編で彼らが参加したコンピレーションをひとつ。 彼らのリリース先はアメリカではJagjaguwarだが、ヨーロッパではラフ・トレードになる。彼らも、そのラフトレの25周年記念コンピに参加している。 このコンピ自体なかなか面白い企画で、現在ラフトレと契…

The Wedding (2005)

最新作。そして、間違いなく最高傑作である。 最大の特色は、ファーストを除いて、ゲストを最小限に抑えてきたのに対し、ゲストミュージシャンを多数招いていること。 特に、いきなりアルバムの冒頭からチェロのゴリゴリしたリフと共に登場する弦楽四重奏団…

Nice: Splittin Peaches (2005)

これはたいへんにクセのある1枚。フル・アルバムから間髪入れず発表された(しかもこの直ぐ後に次のフル・アルバムが出てきた)。 レーベルもいつものJagjaguwarじゃなくてAce Fuだし。ちなみにAce Fuはアシッド・マザー・テンプルのアメリカ配給や、何故かカ…

Secret Wars (2004)

作品ごとに作風を変えてきた彼らだが、ここでまた大きな変化をとげた。パンク/ハードロック的な側面が強いバンドだったはずだが、いわゆるポストロック〜音響のバンド達と共通するような質感が強調されている。奇妙に落ち着きはらったムードが全体を支配して…

A THEISTS, RECONSIDER (2002 , with LIARS)

ヴェルヴェッツの「僕は待ち人」のような、パルスっぽいリズムとオルガンのリフで幕を開け、ボソボソ囁くような歌でいつもの世界に巻き込まれる...、と思ったら、この1曲目はスプリットの相手のライアーズの曲であった。 ニューヨークを根城に、ピプノティッ…

Each One Teach One (2002)

問題作。 初の2枚組だが、実は充分1枚に収まる長さではある。 それをわざわざ切り分けたのは、ディスク1がたった2曲、それも思い切った長尺だからだ。 この2曲は他の楽曲と余りにも方向性を異にする。 発想は実に単純。轟音ミニマム、である。単調なリフが殆…

Anthem of the Moon (2001)

最高傑作。 そう呼ぶに相応しい完璧な出来映えだ。 前作のハード・ロック的な方向性を修正、ノー・ウエイブ的な鋭利さを差し込み直したような感覚。 例えば、リフをオルガンが弾く曲とギターが弾く曲の両方があって、それぞれがノー・ウエイブ/ハード・ロッ…

Come On Everybody Let's Rock (2000)

このタイトルがマジなのかギャグなのかよく分からない。 曲名をご覧頂きたい。馬鹿一番である。毒もたっぷりである。 で、サウンドも間違いなく「ロック」、それも70'sハード・ロック大会だ。 オルガンよりギターの比重が確実に増し、デカく重めのリフで何の…

Steel Rod (2000)

前作の勢いをそのまま引き継いだEP。 楽曲の出来にこだわり、よりコンパクトにまとめられた感がある。 M3はツアー中、テネシーで警察にネチネチ尋問された体験を歌っているらしく、妙にもの悲しい雰囲気が漂っている。 他は、70'sハード・ロックのような王道…

Enemy Hogs ('99)

驚愕である。 2年もあれば人間色々なことが起こるのも自明だが、それにしてもデビュー作と本作の間にある変化は余りにも大きい。 いきなり、初期の代表作と言ってもいい、 圧倒的な完成度と破壊力を誇るサウンドを手に入れてしまった。 ここで彼らは4人編成…

A Place Called El Shaddai's ('97)

個人的に注目しているアメリカのバンド、 ONEIDAのアルバムの紹介をしていきます。 97年のデビュー作。 「デビュー作には、そのミュージシャンの全ての要素がある」 と言われることもあるが、本作も然り。 メンバーは2名。未だクレジットに偽名を使っていな…

ロジャー・モリス 「ファースト・アルバム」

「隠れ名盤」と称して私がこねる理屈があって、条件としては「レコード自体が隠れていること」と「バンド自体が隠れていること」を強引に挙げますが、 それよりもっと切ないのが「幻の名盤」とでも申しましょうか。隠れるどころか全く埋没してしまった作品で…

V.A 「This Bird Has Flown:

40th Anniversary Tribute to Rubber Soul」 ビートルズの名作「ラバー・ソウル」の40周年記念で、アルバムを曲順通りいろんな人がカバーしてるシンプルな企画のアルバム。 ミュージシャンのセレクトにもかなりクセがあって、大変に楽しめます。若手から中堅…